October 25, 2012

「空(くう)」 ~ある街角の手相家の物語~ (7)

曇名は両手のひらの手相を一通り観させていただいた後、
おもむろに千代さんの方を見つめました。

「何をお伝えしたらいいのか・・・、」
「素敵な手相を観させていただいてありがたい限りです。」
「具体的にどんなことを手相からお知りになりたいですか?」
と、曇名は、尋ねながら、つぶやくように続けました。

「あなたの手の平はとても、血色がよく、エネルギーに満ち溢れています。」
「それは、運のエネルギーに満ち溢れている状態だといえます。」
「そんな素敵な運の持ち主に私はどんなメッセージをお伝えすればいいのだろうか?」
「うーん、正直、少し悩んでおります。」
「千代さんの性格や気質について、お話することもできますが、
 なんだかそのようなお話をさせていただくのも、違うような気がしておりまして、・・・。」
「人生において、いろいろな時期がおありだったことも、手相にはきちんと記されています。」
「それら、いろいろなことをすべて、運のエネルギーに変えて、今の千代さんがいらっしゃるのですね。」

千代さんが、明るく軽い口調で、
「やっぱり、私の手相って、良いんですね。」
「よく云われるんです。細かいことは忘れましたが、みなさん、こんなすばらしい手相は滅多にない。」って、

「でもね。」と言うと、
千代さんから、笑顔が消え、真剣なまなざしになりました。
静かに話し始めました。
「実は、私には双子の妹がいるのです。」
「その双子の妹は、病気で昨年から入院しています。」
「双子の妹と云っても、生まれた時間が数十分違うだけ。」
「ホロスコープや、四柱推命、など、いろいろな占いを観てもらいました。」
「私も今は、こんなに幸せですが、人生の岐路に遭った時に、観ていただいたことがあるのです。」
「もちろん、手相もです。・・・。」

曇名が頷きながら、確認するように、千代の言葉を遮るように、聴き返しました。
「妹さんのお名前は、なんとおっしゃるのですか?」
「占いを観てもらいに伺う際は、妹さんといつもご一緒だったのですか?」

曇名はお名前をとても大切にしています。
お名前はその方の命をあらわし、その名(命)を運ぶこと、それが運命だと考えているからです。
だから、千代さんの声を遮ってまで、
妹さんのお話を、千代さんの妹さんとしてお話を聴くのではなく、
曇名は、一人の名のある人物として、お聴きしたかったのです。

「妹の名前は、百代です。」(*百代も仮名です。)

曇名が確認するように、
「百代さんとおっしゃるのですね。」
「百代さんが、昨年から入院されているのですね。」

千代が曇名の顔を見つめながら、
「妹の百代と私、一卵性なの。同じ遺伝子ですよね。」
「同じ運勢ですよね。」
「誕生日も時間も数十分の違いなので、四柱推命も、ホロスコープもほぼ同じ・・・。」
「なのに、私はこんなに幸せな毎日を過ごせています。」

「しかし、妹は、闘病中、・・・。」
「なぜ?」
「それとも、私もそのうち、同じように病気になるの?」
「妹が、私のように、毎日を幸せに暮らせる日が、近い将来やってくるの?」

「それが知りたいのです。」
「今に決して満足していないわけではない。むしろ、十分すぎるほど、幸せなのです。」
「だからこそ、知りたいのです。運命って、運っていったいなんなのか?」

千代の訴えは、とても簡単には答えられるような内容ではありませんでした。

曇名は、自分のできることは、手相を観させていただくことしかできない。
そう考え、彼女の左手にさっと手を伸ばして、手のひらを自分の胸元まで近づけ、覗き込みました。
(曇名は、手の平からのメッセージを読み取ろうと必死でした。)

時間にして10秒から20秒・・・。
曇名は、ただ手相を観ながら、いつものように、
「誕生日は、いつになられますか?」
「今、おいくつでいらっしゃいますか?」
と尋ねました。

「え~と、3月12日です。」
「歳は、61歳」
「当然、妹も同じです。」

曇名は、確認するように、
「3月12日ですね。」
「今日が、9月12日だから、今年の誕生日で61歳になられたのですね。」
「還暦を迎えられたとは思えない若々しさですね。」
「手相では、運気の1年の始まりを1月1日ではなく、その方の誕生日から始まるので、・・・。」
失礼ながら、詳しく教えてもらったのです。
曇名が運気の始まりを説明しながら、
「妹さんの百代さんの手相は、千代さんと似通っていましたか?」

すると、千代さんは、持っていた鞄の中に手を入れて、何かを探し始めました。


~つづく~


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yujihiwasa at 13:23│Comments(0)手相物語「くう」 

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